2025.06.09
さて、本シリーズも残り2回となりました。
今回は、SDGsの目標をフォーカスする最後の回となります。
第6回は、目標4「質の高い教育をみんなに」に注目し、医療の「学び」の先にある「医療の継続」について触れていきたいと思います。
「医療は、学び続ける仕事だ」
そう語る医療従事者の方は少なくありません。
医学の進歩、技術の更新、制度の改定、そして患者さんのニーズの変化。
どれ一つをとっても、医療は止まることを許されない「変化の連続」です。
そのなかで、学び続けられる環境があることは、質の高い医療を支えるうえで欠かせない土台になります。
SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」は、単に学校教育の充実を指すだけではありません。
すべての人が、生涯を通して「学ぶ機会」「教える機会」を持ち、その教育の質と公平性を高めていこうという視点です。
それは、医療の分野も同様に考えることができます。
例えば、医療職が専門性を磨き続けられること、現場で得た知見を次世代や地域へ伝えること、患者さん自身が自分の身体や健康について「学べること」…。
これらすべてが、この目標の実現に関わっています。
例えば、このような声があります。
「自分の知識や技術が古くならないか、ずっと不安だった。
でも、研修に行ってもいいよと言ってもらえる職場だったから、学んでいいんだと思えたし、仕事へのモチベーションも上がった」
学びの環境があることで、人は「もっとよくなれる」「もっと支えられる」と感じられます。
これはスタッフの満足度や離職率にも大きく関わってくる部分です。
また、教育の視点は「教える側」にも広がります。
医療従事者が専門知識を地域に伝えていくことは、患者さんや住民が「自分の健康を自分で守る力」を育むことにもつながります。
例えば、これらの活動は、医療を“地域と分かち合う”営みです。
医療従事者が教育に関わるとき、「どう伝えれば伝わるのか?」「なぜそれを伝えるのか?」という問いが生まれます。
それは、医療従事者自身が自分の専門性や価値観を見直す、貴重な時間にもなります。
教育とは、一方的に教えるものではありません。
双方向で、育ち合うものです。
患者さんや地域との対話を通じて、医療従事者もまた学び続けているのです。
「質の高い医療を、持続的に提供する社会」を考えるとき、そこには必ず、学びの循環があります。
医療者が、学び続けられる場所であること。
医療者が、地域と学びを分かち合う存在であること。
医療そのものが、誰かの気づきや関心を生むものであること。
「医療」の教育は、未来を支える基盤です。
学び・伝達を止めない「医療」が、この先永遠と続く「医療」を支えていくと信じています。
最終第7回は、これまでのSDGsへのフォーカスを振り返りながら、「ホワイト医療機関認定」について語りたいと思います。
それでは最終回も、ぜひお付き合いいただけますと幸いです。
日本医療労働環境改善協会(JMWEIA)
岡田 詩穂