2025.05.20
「ホワイト医療機関認定」の認定基準にスポットを当てる本連載も、折り返しとなりました。
第4回は、「ホワイト医療機関認定」の基準のひとつ、「有給休暇消化率80%以上」について掘り下げてみたいと思います。
「休みが取りにくい」は、医療職の“あるある”なのかもしれません。
でも、それって本当に当たり前で済ませていいことなのでしょうか?
今回は、「ホワイト医療機関認定」の4つ目の認定基準「有給休暇消化率80%以上」という点から、医療従事者の「休み」について考えてみたいと思います。
医療機関で働いていると、「有給って、なんとなく取りにくい」「誰かに代わってもらわなきゃいけないから気が引ける」そんな声を耳にすることがよくあります。
もちろん、少人数の現場では、シフトの調整が簡単でないこともあるでしょう。
しかし、有給休暇は労働者が当然持っている権利です。
そして、「それを取得しやすい空気があるかどうか」が、医療機関の健全さを映し出す鏡でもあります。
有給休暇の消化率が低い職場には、いくつかの共通点があります。
例えば、こんなイメージはありませんか?
こうした状況では、「本当は取りたいけど取れない」という声無きストレスが、少しずつ積み重なっていきます。
そして、それは職場の信頼関係にも、じわじわと影を落とします。
一方で、有給消化率80%以上の職場では、次のような仕組みや文化が根づいています。
つまり、誰かが休むことで誰かが我慢するのではなく、「全員で休みを取ることを支え合っている」職場なのです。
医療職は、体力も気力も求められる仕事です。
だからこそ、「小まめにしっかり休む」ことが、仕事の質を守ることにもつながります。
たとえば、こんなスタッフの声があります。
「有給が気兼ねなく取れるようになってから、疲れを翌日に引きずることが減りました。気づけば体調を崩す頻度も減っていて、気持ちにも余裕が出た気がします」
無理をして働き続けるより、適切なタイミングで休み、リフレッシュして戻ってくる。
それが当たり前になっている職場は、人が長く、健やかに働ける場所でもあります。
制度としては有給が存在していても、実際に使えていなければ意味がありません。
「有給消化率80%以上」という数値目標は、単なる実績ではなく、取得しやすい職場環境の指標です。
もし、職場探しなどで医院について調べる機会があれば、こんな視点で観察してみてください。
有給休暇がしっかり取れる職場は、人を大切にしている証拠です。
人員配置、業務分担、シフト設計――そのすべてにおいて「無理が出ない仕組み」が整っていないと、80%という数字は達成できません。
そして、それができる職場は、休むだけでなく「働く」時間も大切にしてくれる可能性が高いのです。
「患者さんに良い医療を提供するには、スタッフが健康であることが第一」
自分自身の人生のためにも、患者さんのためにも、「健康」は譲れない前提条件です。
だからこそ、「休める」を当たり前に。
「健康」を大切にできる職場にあなたが出会えることを願います。
■次回は…
第5回は、5つ目の基準「1分単位での残業計算をおこなっている」についてお届けします。
よければ次もお会いしましょう!
日本医療労働環境改善協会(JMWEIA)
岡田 詩穂