2025.06.13
「人が集まらない」「応募が来ない」「いい人材ほどすぐ辞めてしまう」
採用や定着にまつわるこのような悩みは、今や多くの企業が直面する重大な経営課題です。
そうした状況を改善する鍵として、「ホワイト医療機関認定」は進められています。
過酷な労働環境について「ブラック企業」という言葉が流行り始め、それに相対する言葉として、「ホワイト企業」という言葉も使われ始め、もう15年ほどとなります。
「ホワイト企業」という言葉は、初期は漠然と「働きやすい会社」「社員にやさしい職場」というイメージで使われていました。
しかし現在は、「ホワイト企業であること」ということが、一種のマーケティング戦略として機能し始めています。
求職者にとっての企業選びは、企業側が思う以上に「イメージ」に左右されます。
「第三者から認定を受けた」という事実は、客観的な指標として信頼性が高いのです。
「ホワイトな条件ってどんなものだと思いますか?」
そう尋ねると、返ってくる言葉は様々です。
労働時間や休暇、福利厚生、人間関係、etc。
そのような声から運営上の課題をあぶり出すことで、単なる表面的なブランディングではなく、中身からホワイトな組織を目指す第一歩となります。
「ホワイト医療機関認定」は、そのような声の中でも数値で測ることができる5項目を認定要件として打ち出し、認定を行っています。
「これを揃えていなければホワイトではない!」というわけではありませんが、この認定要件を満たしていると「ホワイトです!」と胸を張って言える、そんな5項目です。
特に医療業界では、他の業界に比べて条件を満たしている企業・医院は少なく、これを満たしている、認定を受けているというのは、他の医院に比べて大きなアドバンテージとなります。
取引先やパートナー企業から見たとき、ホワイト医療機関認定を受けている医療機関は「運営意識が高い」「社員を大切にしている」という安心感を与えます。
特に昨今は、ESG(環境・社会・ガバナンス)や人的資本経営といったキーワードが注目されており、取引相手の健全性や社会的姿勢が問われる時代になっています。
こうした背景から、ホワイト医療機関認定は一種の「信頼の証」として、商談・提携の場でもアドバンテージになり得るのです。
今の時代の求職者は、給与や福利厚生だけでなく、企業の価値観や姿勢にも敏感です。
「どういう考え方の会社なのか」
「社員をどれだけ大切にしているか」
「ここで自分が幸せに働けるのか」
こうした問いに対し、ホワイト医療機関認定という形ある証拠は、大きな説得力があります。
勿論、ホワイト医療機関認定は取得して終わりの制度ではありません。
むしろ大切なのは、「取得後、どう活かすか」です。
こうした取り組みによって、「認定→信頼→採用力→社内活性化」という好循環が生まれ、医院全体の“顔”としてのブランド力が底上げされていきます。
ホワイト企業というと、どこか「自然とそうなった」「いい会社はもともとホワイト」といったイメージを持たれがちです。
しかし今は、実際には意志と行動で「ホワイト」をつくる企業こそが、選ばれる時代です。
制度や文化を整え、それを認定という形で外部に示し、さらにそれをうまく伝えていく。
ホワイト企業認定は、その一連の流れを後押しする強力なツールとなります。
「人が集まらない」と嘆く前に、「人が集まりたくなる会社」を目指すために。
「ホワイト」というブランドは、これからの医院経営に欠かせない一手となっていくでしょう。
日本医療労働環境改善協会(JMWEIA)
岡田 詩穂