コラム

医療の現場で働いていると、「やりがい」と「働きやすさ」が必ずしも両立しない現実にぶつかることがあります。
患者さんのためにと日々頑張っていても、気づけば自分の心と体がすり減っていたり、職場の人間関係や働く環境に悩んだり…。
そんな経験がある方も、きっと少なくないのではないでしょうか。
今まさに新しい職場を探している方は、いくつも求人票を見比べながら、「ここで働いて本当に大丈夫かな…」と、見えない不安に揺れているのではないでしょうか。

そんな時に、「安心の目印」があれば、少し気持ちが軽くなるかもしれません。
求職の情報収集の際に安心の目印として探してほしいのが、「ホワイト医療機関認定」のマークです。「ホワイト医療機関認定」とは、一般社団法人日本医療労働環境改善協会が運営する制度です。
医療現場で働く方の「働きやすさ」を目指し、労働環境や組織体制について第三者の視点で評価し、一定の基準を満たした医療機関に認定を与えるものです。

ホワイト医療機関認定の評価項目は、以下の５つの項目で行われます。
この5つの項目は、「良い職場環境」の条件が数ある中、成果を測ることのできる項目を抜き出し、設定されました。つまりは、「目に見えてわかる」職場環境の良さということです。

皆さんは、求人を探す際、どのように探しますか？
求人サイトを見たり、求人イベントに行ったり…。求人票の条件の項目が多岐に渡ったり、似たり寄ったりの内容だったりして、「どれを選べばいいんだろう…」と悩まれることはありませんか？
そんな時、この「ホワイト医療機関認定」の認定マークが目に留まれば、どうでしょう。
「ここなら大丈夫かもしれない」と思える、そんなきっかけになるかもしれません。

例えば、「残業代はきちんと出るだろうか」「お休みはちゃんと取れるのかな」といった疑問。これまでは「面接で聞きにくいこと」だったのではないでしょうか
しかし、「ホワイト医療機関認定」を取得していることでこうした基準をクリアしていることが明確になり安心して一歩を踏み出せるようになります。

医療従事者の人たちは、患者さんのために力を尽くすことが当たり前のように語られがちです。しかし、そんな働き方は、自分の心や体の不調を後回しにしてしまったり、「自分が我慢すればうまくいく」という思考を生んでしまったりします。
その献身は、本当に患者さんのためになるでしょうか？

「働く環境を選ぶこと」は、自分を大切にする選択でもありますが、余裕を持った状態で患者さんにより良い医療を提供するという選択でもあるのです。
医療の仕事は、人と人との関わりの中で成り立っています。だからこそ、職場での人間関係や労働条件、働きやすさは、その人のパフォーマンスやモチベーションにも大きく関わってきます。
「もっと患者さんのために頑張りたい」と思える余裕も、まずは自分の生活や心が安定していてこそ、育まれるものだと思います。

働く場所を選ぶというのは、人生の大切な節目です。
多くの医療機関が、そんな中で自分の職場を知ってもらおうと、様々な情報を公開しています。そんな情報の海で、自分にぴったりの１院を探し出すのは至難の業です。そして、どんなに情報を集めても、「実際に働いてみないとわからない」部分はどうしても残ります。
「ホワイト医療機関認定」が、そんな選択の中での「判断材料のひとつ」になればいいなと思っています。
きちんと評価を受けられる、しっかりと休みが取れる、安心して働ける環境は、必ずあります。情報が溢れる現代だからこそ、「安心の証」があることは、何よりの指針になります。安心して働ける場所は、あなたの味方になってくれる場所です。そして、患者さんの力になりたいというあなたの思いを十分に発揮してもらえる場所です。

次に選ぶ職場が、あなたにとって健やかで、あたたかい場所になりますように。あなたの想いを支えてくれる職場は、きっと見つかります。

日本医療労働環境改善協会(JMWEIA)
岡田 詩穂