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2025.05.02

働きやすさには「カタチ」がある

忙しい朝の準備、患者さんとのやりとり、チームとの連携、次から次へとやってくる仕事の山…。
医療現場で働いていると、1日1日が目まぐるしく過ぎていきます。
そんなある日、「うちの医院、ホワイト医療機関に認定されたよ」と聞いたら、あなたはどう感じるでしょうか。
「へぇ、そんな制度あるんだ」と思う方もいれば、「何か変わるの?」と感じる方もいるかもしれません。今回は少し、この「ホワイト医療機関認定」について、お話ししてみたいと思います。

働きやすさには「カタチ」がある ホワイト医療機関認定

「この職場はホワイト」だと「見える」こと
「ホワイト医療機関認定」は、日本医療労働環境改善協会が、その医療機関の労働環境について、測定可能な5つの基準を基に「ホワイトさ」を認定するものです。
一言でいえば、「ここは人を大切にしている職場ですよ」と、「見える化」された証です。
しかしそれは特別なことではなく、例えば、「休みが取りやすい」「保険に加入している」「きちんと昇給していける」といった、日々の小さな働きやすさが積み重なった結果です。
つまり、「ホワイト医療機関」に認定されたということは、その職場の「働きやすさ」のための取組が、外からもきちんと見える形になったということです。

認定されていなくても、頑張っている職場はあるのでは?
もちろん、その通りです。認定を受けていないからといって、すべての医院が働きにくい職場だということでは決してありません。
患者さんのため、チームのため、日々を一生懸命に支えている医院は全国にたくさんあります。
「ホワイト医療機関認定」の基準に挙げられている5項目以外で、良い職場環境を作るための取組をされている医院もあると思います。
しかし、それは時に、外からは「見えない」頑張りになってしまっているかもしれません。

「働きやすさ」が「見える」職場であること
「ホワイト医療機関認定」を取得しているということは、「この職場は働きやすい条件を満たしている」と認められたということです。
「見える」認定は、外からの別の評価につながります。それは、患者さんであったり、また、働く場所を探している医療従事者の方であったりです。
患者さんは、「この職場で働いている人は安全な環境で働けているんだな」と知ることができ、安心して治療を受けていただけます。
求職中の医療従事者の方には、「ここはホワイトな環境だな」と目に見えて知ってもらうことができます。
働きやすさが見える職場には、人が集まりやすくなるのです。人が集まる職場は、またその先の「働きやすさ」につながります。

「働きやすい医療現場」は「誰」のため?
「働きやすい医療現場」は一体「誰」のためにつくられるのでしょうか。もちろん、そこで働く人のためではありますが、その先には何よりも「患者さん」がいます。
働きやすい医療現場は、そこで働く職員さんたちの心と体にゆとりをもたらし、長く安心して働ける環境を築きます。その安定は職場全体のチームワークや専門性の向上につながり、結果として、より丁寧で質の高い医療を患者さんに提供することが可能になります。
現場の満足度が高まることで笑顔が増え、それがそのまま患者さんの安心や信頼につながっていく——。そんな好循環をめざすことが、これからの医療に求められています。

最後に、2025年4月、30の医療機関が「ホワイト医療機関認定」に認定されました。
働きやすい場所だ」と人の目に留まったり、「安心して働ける場所だ」と長く勤めたい気持ちが生まれたり、「ここの人には安心して任せられる」と良く思っていただけたり…。
そんな輪を、今後も広げていきたいと思います。

日本医療労働環境改善協会(JMWEIA)
岡田 詩穂